食物繊維は消化もされず、栄養素も持たないエネルギーのないものとして、ダイエットに効果的という点やお通じに良いと言う点では注目されてきましたが、近年になり食物繊維が身体に及ぼす重要な働きが次々とわかってきています。現在では5大栄養素に次ぐ第6の栄養素と呼ばれるほど重要視されるようになってきているほど注目度が上がっています。
今回はそんな食物繊維についての知識を深めていきましょう。
皆さんは意識的に食物繊維を摂取していますか?実は現代人の食物摂取量は足りていないと言われています。日本人の癌で最も多いと言われている大腸癌は食物繊維不足によることが原因の一つだと考えられています。
水溶性と不溶性の基礎知識
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があることはほとんどの方はご存知なのではないでしょうか?
では、それぞれが実際にどんな働きをしているかをきちんと認識しているでしょうか?
水溶性食物繊維は水に溶けやすく、水分を抱きこんでゲル化し腸内をゆっくり移動して腹持ちをよくし、食事から摂取したコレステロールと結びついてコレステロールを体外に排出してくれる作用があります。(血中のコレステロールを吸着はしない)
一方不溶性食物繊維は水に溶けず、水分を吸収しながら腸を刺激してお通じを促す作用があります。
よく間違えがちなのですが、お通じが悪くなった時、お通じをよくしようと不溶性食物繊維をたくさん摂取しようとすることです。不溶性食物繊維の水を吸収するという習性を持つので水分摂取が少ないと腸内で固くなってしまいます。つまり、水分をあまり摂取しないで不溶性の食物繊維ばかりを摂取してしまうと逆に便秘になってしまう要因を作ってしまうという事も覚えておくと良いと思います。
水溶性食物繊維を多く含む食材はねばねばした納豆や、オクラ、ワカメ、モロヘイヤなどのお野菜や、熟れた果物や芋類、こんにゃく、オーツ麦などの麦類になります。不溶性食物繊維を多く含む食材は大豆や穀類、ごぼう、きのこ、などです。
食物繊維は腸内環境に大きな影響を与えている
近年、食物繊維が注目されている事は、腸内細菌が食物繊維を餌にして発酵することで有益な物質を作ることです。これにより腸内環境が良くなり、様々な健康に有益なことがわかってきています。
腸内細菌よって好む食物繊維があり、例えば乳酸菌はごぼうなどに含まれるイヌリンを餌として好む傾向にあり、ビフィズス菌は豆などに含まれるレジスタントスターチを餌として好む傾向にあります。また菌によって腸内に存在する場所も違うこともわかってきています。
食物繊維の種類によって腸内細菌で発酵する時間が違う
食物繊維にはそれぞれ長さが違い、その長さによって発酵時間が変わります。食物繊維の長さが短いほど発酵時間が短く、長いと発酵時間が長くなります。腸内環境は発酵時間が長ければ長いほど良くなる傾向にあります。
玉ねぎなどに含まれている食物繊維の一種フラクトオリゴ糖*1(オリゴ糖の種類についてはまたの機会にお伝えできればと思います)や、ごぼうなどに含まれているイヌリン*1は繊維が短く4時間程度で発酵のピークに達してしまいます。大麦などに含まれているβグルカンは発酵のピークに達するのに6時間以上かかり、豆類や芋類などのレジスタンとスターチは10時間以上かかると考えられています。
繊維の短い食材ばかりを摂取していると腸内環境を良い状態で維持するのが難しくなってしまいますがだからと言って繊維の長いものばかり摂取している方が腸内環境が良くなるとは限りません。前途したように、腸内細菌にそれぞれ好む食物繊維が違うので、食物繊維も多様性が重要で、長いものも短いものも満遍なく摂取することが大切です。
食物繊維には長いものと短いものがあり、腸内での発酵時間が変わると言うことは覚えておくと良いかもしれません。
食物繊維は短鎖脂肪酸を作る
食物繊維は発酵すると脂肪酸を作ります。食物繊維でも特に水溶性食物繊維は腸内細菌が発酵することで短鎖脂肪酸を作り出します。この短鎖脂肪酸脂肪酸は腸管のL細胞というところからGLP-1と言うホルモンを分泌します。このGLP-1は脳に働きかけ満腹中枢を刺激するため、食べ過ぎを防いでくれたり、血糖値が上がりすぎるのを防いでくれたりするので糖尿病の改善にも良いと考えられています。
水溶性食物繊維が不足しがち
お野菜の多くは不溶性食物繊維を多く含んでいるものが多く、なかなか水溶性食物繊維を十分に摂取できていないケースが多いと言われています。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の摂取バランスは1:2と言われています。
オートミールやごぼうは水溶性と不溶性食物繊維のバランスが1:2に近い食材の代表になります。
不溶性食物繊維は普段からお野菜を意識して摂取している方であれば十分に摂取できている可能性が高いと思うので、水溶性食物繊維を摂取することを少し意識してみると良いかもしれません。
最後に
食物繊維の摂取が減ると腸内腸内の餌が不足して腸内細菌が少なくなってしまいます。それにより、腸内環境が悪くなりこれらの様々な効果の恩恵を受けることができなくなるだけではなく、便秘になったり、アレルギーなどを引き起こす原因が作られやすくなってしまいます。
h+dietの商品はこれらの食物繊維の重要性もきちんと商品に取り入れ、最新の栄養学を可能な限り反映しながら商品作りをしています。
今日のまとめ
- 食物繊維は腸内環境を良くするために必要不可欠
- 食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がありそれぞれ特徴がある
- 便秘になった時は不溶性食物繊維の摂取だけを意識するのではなく水分摂取も意識する
- 水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の理想的な摂取バランスは1:2
*1:フラクとオリゴ糖とは砂糖に加糖分子が1から3個結合したもの。このフラクトオリゴ糖を含め果糖分子が直鎖状に繋がったものを総称してイヌリンと言います。イヌリンは水溶性食物繊維に分類されます。
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