腸の環境を整えることが自律神経を整えたり、免疫力を上げたり、痩せやすい体を作ったりなど、近年特に注目されています。
皆さんは腸内環境を整えることはどういうことか正確にご存知でしょうか?
私たちの腸内には約1,000種類、100兆個もの腸内細菌がすみついていて、体に良い影響をもたらす善玉菌、悪い影響をもたらす悪玉菌、どちらにも属さない日和菌の3つのタイプに大きく分けられます。
それら3つの理想的なバランスは2:1:7とされています。つまり、腸内細菌を整えると言うことはこのバランスに近い腸内環境を作ることになります。
腸内環境が良い悪いは適度な運動や睡眠でも影響されますが、食生活が最も影響されると考えられています。
腸内環境をバランスよく整えるのに最も注目すべきは、善玉菌です。善玉菌は食物繊維を摂取することにより増やすことができますが、単に食物繊維を意識して摂取すれば善玉菌が増えると言う訳ではないのです。
今回は腸内環境を整えるための正しい豆知識をご紹介したいと思います。
善玉菌は食物繊維を摂取するだけでは正しく働かない
善玉菌は、食物繊維を発酵・分解しながら生きています。その時に作られるのが酸なのです。この酸には、悪玉菌の増殖を抑制したり、腸のぜん動運動(腸の内容物を先へ先へと運ぶための運動)を促してスムーズなお通じを助けたりと、腸内環境を改善する役割があります。
酸の中でも「短鎖脂肪酸」と呼ばれる酸は脂肪燃焼のスイッチを入れてくれることで注目されています。
さて、ここからが大切なポイントになります。善玉菌は食物繊維を食べれば増え、働いてくれると言う単純な問題ではありません。さまざまな発酵食品を摂取することで初めて腸内で正しく働いてくれるのです。
食物繊維が正しく腸内で善玉菌を作るための3ステップ
発酵食品には、納豆、ヨーグルトなどが代表的ですがどれかだけを意識的に摂取するだけでは食物繊維がうまく分解されて善玉菌となることができません。
まず、納豆菌、糖化菌と呼ばれる菌が食物繊維を分解して糖にします。(第1ステップ)糖になると初めて、作られた糖を活用して乳酸菌やビフィズス菌が働き酢酸や乳酸を作ります。(第2ステップ)そして最後に乳酸や酢酸を材料にしてプロピオン酸菌や酪酸菌がプロピオン酸や酪酸を作る(第3ステップ)というリレーのような構造で食物繊維は菌に分解されていくのです。
つまり、全ての菌がバランスよく体内に存在しないとうまく食物繊維を分解し善玉菌を作ることができなくなります。
例えば、体内に乳酸菌やビフィズス菌があまり存在しない場合は、うまく分解されなくなり、糖の状態で体に残ってしまい、糖が体に吸収されてしまうため太ってしまうのです。つまり、同じ食事をしても腸内にどのような菌がいるかによって太りやすい、太りにくい体質が変わってくるというわけです。
ちなみに、菌の量は前途したようにその人の食生活が大きく影響していますが、個々の体質や人種も関係していると考えられています。
これらの菌はどんな食材に含まれているの?
- 納豆菌:納豆
- 糖化菌:納豆、味噌など
- 乳酸菌:ヨーグルト、キムチ、チーズなど
- ビフィズス菌:ヨーグルト
- プロピオン酸菌:味噌、醤油、葡萄酒、チーズなど
- 酪酸菌:味噌、もち麦、海藻類など
腸内環境を良くしたいと考えているのであれば、これらの中であまり食べていないかも・・・と思うものは少し意識して摂取してみると良いかもしれません。
また、ビフィズス菌には色々な種類があるのでヨーグルトを摂取する時は同じメーカーのヨーグルトばかり食べるのではなく、いろんなヨーグルトを食べてみると腸内にいろんな種類のビフィズス菌が存在しやすくなります。
酪酸菌はビタミンB1がないと上手く働いてくれないので、豚肉や玄米などビタミンB1を多く含む食材も同時に意識して摂取することも覚えておくと良いかもしれません。
保存料・食品添加物には注意
腸内細菌は微妙なバランスによりできており、抗菌性のある食品保存料によって、善玉菌と悪玉菌のバランスが乱れたり、腸内の状態により無害であったり有益な働きをする日和見菌が悪い働きをするようになる可能性も考えられることが近年の研究で少しずつわかってきているようです。
せっかく食物繊維や発酵食品をバランスよく摂取するよう意識したことが無駄にならないようにしたいものですね。
h+dietの商品では、ヨーグルト、クリームチーズなどを使用することが多いですが、h+dietで使用しているヨーグルトはオーガニックのものもしくはゲージフリーのもので、もちろん乳化剤や香料などの保存料や添加物を使用していないものを使っています。
また、クリームチーズに関しては、必ず安定剤が必要です。安定剤の種類でも増粘多糖類と表記されているとどんな増粘剤(食材)を使っているのかわかりません。h+dietが使っているクリームチーズは、ローカストビーンガムと言う地中海沿岸に生育するキャロブという常緑樹(豆科の大木)の種子の胚乳から抽出された天然素材がから作られた安定剤を使用しているグラスフェッドクリームチーズを使っています。
【今日のポイント】
- 腸内環境を良くするためにはまずは食物繊維を摂取すること
- さまざまな発酵食品を摂取すること
- 保存料・添加物には気をつける
参考文献:
Common food preservative has unexpected effects on the gut microbiome (シカゴ大学学生物科学部2024年2月2日)
Activity of Gut-Derived Nisin-like Lantibiotics against Human Gut Pathogens and Commensals (ACS Chemical Biology 2024年1月31日)
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